―第1話―


小柄な少年と別れ10分くらい歩き、隣町の方へまたもや空を見上げながら歩いて来た黒髪の青年。
暗い夜の空を見上げながらいつも馴染みの店へと向かう。
真正面に視線を変え店に入ろうとすると、先ほどまで黒髪がいた静かな街の方向から、
髪の長い綺麗な緑色の目の男が走って此方に向かってきている。
入ろうとしていた黒髪の青年は、長い緑色の目の青年の方を軽く見てはすぐ視線をドアの方に変え、
ドアに右手をかけ店の中の方へと足を進める。
そうすると、走ってきた髪の緑目の男が黒髪の左腕を掴む。
掴まれた黒髪は不機嫌そうな表情をしながら口を開き

「……何だよ」

そう一言口にすれば、緑目は黒髪を見ながら少し首を傾げ、黒髪に問う。

「黒髪に赤目の青年……だったけど……君の事でしょうか……?」

緑目がそう言うと意味がわからず唖然とした表情をする黒髪。
黒髪は不機嫌そうな顔をしたまま鼻で笑いながら口にする。

「ハッ……変な奴」

そう言いながら緑目の方を横目で見る黒髪。
そして、そのまま口をそっと開き

「手ぇ離せよ」

そう黒髪が口にすれば緑目は軽く首を傾げる。
緑髪は小さく口を開け

「あなたですよ……多分。少し前に身長が小さめなピンク色の髪の子に会いましたよね?」

そう緑目は黒髪に訴える。
そんな緑目を少し機嫌悪そうに見ては

「多分で人を引き止めんな……そんなピンク色の髪した奴なんて、そうそういるわけ……」

喋っている途中で何かを思い出したように、黒髪は少し眉間に皺をよせながら考え……、
そして、先ほど出会った小さな小柄の少年との言葉が黒髪の頭の中で通る。

――――前見てたのか? お前

――――ま、良いけどよ。今度からは気を付けろよ?

黒髪は確かにピンク髪子に会っていた事に気づく。
しかし、面倒臭そうな表情をしては黒髪は緑髪を見て口を開く。

「いや、会ってない……。人違いだ。残念だったな……」

そう口から出任せを言う。
反射的に面倒くさいと思い込み嘘を言った様子で……。
そうすると緑目は眉間にしわをよせた。
緑目の頭の中で何かが通る。

―――――――――キーーン

そんな耳鳴りが激しくなったような音と共に、頭が何かで叩かれたような頭痛に襲われた―――
そうすると、黒髪の頭の中でも同じような音と頭痛に襲われる―――

―――――――――キーーン

そうすると、黒髪は眉間にしわをさらによせながら緑目を見る。
緑目は眉間にしわをよせたかと思えば、すでに眉間に皺はよっていなくて……。 そして、黒髪に緑髪は微笑みを向ける。
黒髪は緑目の青年を見ながら目を半開きの状態にし機嫌が悪そうに

「……耳鳴りか? ……クソ」

そう口に黒髪がすれば緑目は少しふぅとため息を吐く。
そして、ため息がつき終われば黒髪の方を向いて言葉を吐く。

「聞こえたんですね……、やはり貴方でしたか……」

そう緑目が口にすれば黒髪は緑目を睨みつける。
睨みつければまた黒髪は相手を見て叫ぶようにして口を開く。

「何が聞こえたか不明だな……っ……」

だが、黒髪は心の中ではこう呟いていた。

―――――なんでこいつわかるんだ……それと何だ……この頭痛は……。

黒髪は少し驚きを隠しながら、そのまま普通の態度を見せる。
だが、黒髪の頭の中ではまだ耳鳴りが鳴ったまま……それが辛いのか眉間にしわを何度も寄せる。
緑目はそれに対し笑顔を向け、相手を落ち着かせるようにしてから空を見て何かを感じ取ったようにして

「そうですね……耳鳴り……でしょうか、そんな音が聞こえたのでは無いですか?
 それと、頭の痛みも……。もうそろそろしたら消えると思いますのでご安心ください」

そう言うと確かに耳鳴りは消えた。
しかし、黒髪は驚きの隠せない表情をして相手の方を見る。
そして、口を開く。

「俺、そんなに顔に出てたか……? つか、耳鳴りと頭痛って……何でわかんだよ……」

そう言えば緑髪は黒髪に対しため息をつく。
そして、緑髪は黒髪を見て呆れた様子を見せてから微笑を浮かべ

「そうでしたね。では、説明致しましょうか。是非宜しかったら進みながらでも宜しいですか?」

そう緑目が言えば黒髪は心の中でこう呟く。

「何処に連れて行く気だ……」

こう思えばあまり問うことはせず、頷いてみせる。
そうして、2人で一緒に歩き始めるが、少し緑目を怪しいがる黒髪。
緑目から1メートルほど離れたところを歩く。
そうすると、緑目は相手の方をクスッと笑いながら振り返り、それにあわせ黒髪も足を止める。

「そんなに怪しがらなくても良いではないですか。えっと……黒城…悠里君……だったかな?v」

そう笑顔で言う緑目に対し、黒髪は少し驚いた顔をしながら俯く。
【黒城悠里】これが黒髪の彼の名前。
悠里は驚いた表情を隠せない状態のまま、口は開かずに俯いたままでこう思った。

――――なんで名前知ってるんだ……。

そこから悠里は緑目の事を見ながら口を開く。

「気持ち悪い。そんな事はどうでも良いから何でお前は……」

そして、悠里が喋っていると緑目は先ほどまで進んでいた方向に振り返り歩き始める。
同じように悠里も少し距離を置きながら歩く。
そして、悠里の言葉を止めるように緑目は笑顔を向けながら口を開く。

「貴方の名前を知ってる理由は……言えませんね。耳鳴りの理由は……あー……それも今は言えませんかね」

理由を説明するのかと思った緑目がそう口にすると、悠里はいきなり目つきを変える。
その目つきは獣のような鋭い目で……。
そして、悠里は緑目と一緒に進んでいた方向から真逆に振り返り、俯いて小さく口を開く。

「意味不明だな。説明しない怪しい奴について行く程……俺は馬鹿じゃない……」

そう悠里は口にすればそのまま緑目と反対の方向へ進んで行く。
それを見て緑目はクスッと笑って、ボーッと空を見上げて小さく口を開きこう呟く。

「んー……。帰っちゃいましたねぇ……。これからどうしましょう」

そう口にすれば空をボーッと見上げたままにしていると、
前に悠里にぶつかって来た小柄な、まるで女の子のような彼が緑目に近づく。
それに気づくように緑目も小柄な少年を見る。
そして、小柄なは満面の笑みをしてからみ緑目に抱きつき緑目を上目で見ながらで口を開く。
「魅玲ー黒髪の彼とは会えた??v」

そう言う幼い少年に緑目は笑顔を向け軽く頷いて見せる。
【魅玲】
そう、これが緑眼の名前・・・・・・。
しかしそこから、緑目は少々苦笑いぎみに幼い少年を見て口を開く。

「クスッ……君なら聞かなくてもわかってるでしょう?」

そういう緑目に対し抱きつきながら幼い少年は小さく笑顔を向ける。
そして、幼い少年は少し俯き、少し落ち込んだ様子をしながら口を小さく開く。

「まーねっv」

そう言う幼い少年は抱きしめていた腕を思い切り強める。
緑目はそれに対し、幼い少年を包み込むようにして相手の耳元の方に口を近づけ口を開く。
「これからですよ……。のんびり行きましょう……ね、琉兎君……」

そう緑目は口にする。
【琉兎】これが幼い少年の名前のようだ。
琉兎は軽く頷いて見せ緑目から身を離し、相手の右手を両手で掴み笑顔を向ける。
そして、口を開く。

「そうだねっ!今日は帰ろっか、また後日彼の所へ行こう!」

そう言う琉兎に対し緑目は微笑みを向ける。
そして、微笑みながら琉兎を見て

「そうですね、また参りましょう」

そう言って琉兎は緑目の腕を両手で掴んだ状態から、
左手で持ち手を繋ぐ状態にして一緒に手を繋いで歩いて行く。
そんなこんなで、今日が終わる。


琉兎は確かにたった今、さきほどこの場所に到着していたのは確か。
悠里とは琉兎は会っていない……。
―――――聞かなくてもわかる
この理由が明かされるのは、これから―――


From the painful