―第3話―


―――ガチャッ

ドアに手をかけ、ドアを開ける小柄な少年琉兎。
琉兎が開けたドアから外へと出る紅い瞳をもつ青年悠里。
悠里は家の外から家のドアに鍵をかける。
そのまま琉兎は先に悠里の家の外の方へと足を進める。
鍵を閉め終わると、琉兎について行くように悠里は足を進める。
その時に琉兎は相手を見上げ、口を開く。

「悠里君! これから何処へ行くか…わかる?」
そう言う琉兎に対し悠里は口を開かず空を見上げていた。
その態度を見た琉兎は足を止めた。
悠里はそれに気づかずそのまま足を進めている。
だが、琉兎から5メートル程離れた所で気づき相手へと視線を移す。

「何してんだよ…さっさと行くぞ」

そう言う悠里に対し、琉兎はまた立ち止まったまま相手に視線を向け

「…悠里君、連れてきておいてだけど、今ならまだ引き返せるよ?」

琉兎は真剣な表情をしてしっかりと相手を見て口にした。
それに対し悠里はため息をついてから琉兎に少しずつ近づいて行き、相手を見下すようにして

「ハァ…アンタ、何がしたいわけ?」

悠里は機嫌悪そうに琉兎に問い掛ける。
琉兎は問い掛けてくる相手をを見上げて

「いきなりこんな不気味な僕が現れて、そしていきなりついて来てって言われて、君は怪しがらないの?」

琉兎は不安げにも真剣に相手を見上げながらもそう言う。
悠里は軽く鼻笑いをしてそのまま、また先ほど進んで居た進行方向へと視線と体を向ける。
「そんなもんもうとっくに思ってるけど?ただ、俺は気になる事が有るから行くだけなんだよ」

そう口にして、悠里と琉兎は先ほど進んで居た方向へと進んで行く。
方向は先日に向かった隣町の方向…。
悠里は進んでいる最中に心の底ではこう思っていた。

―――こいつは俺に何を強がってるって言うんだ…まさかとは思うが…俺の過去の記憶まで見ていたのか…俺はそれが知りたい…。
   そして…こいつの正体は何なんだ…。そして…あの長髪の男も…。

そう思う悠里に対して、琉兎は反応を見せない。
琉兎は悠里の約1メートル程先を進んで行く。
それを追うようにゆっくりと足幅を合わせながら歩いていく悠里。
5分程歩いただろうか―――。
ついた場所は小さな喫茶店。

―――カランコロン

喫茶店のドアを開けると同時に音が店内で響く。
中には、先日会った長髪の男…魅玲が椅子に座っている。
そして、隣には金色の目と髪をした少年が同じように座っている。
悠里が中を軽く見ていると琉兎は悠里を見上げながらニコッと笑顔を向け

「此処ね、僕達くらいしか人来ないんだよv…さてっ、こっち来てくれるかな?」

琉兎は魅玲と金髪の少年の方へと進んで行き、手招きをする。
それに対してゆっくりとついて行く悠里。
琉兎は座っている魅玲の膝の上に座り、同じテーブルのあいている席を指差し

「どうぞv」

そう言うと悠里は椅子へと腰をかける。
魅玲と金髪の少年はその姿から目を離さない。
悠里のそんな姿を見ながら

「あんたが黒城って人? …へぇー琉兎の言った通りだな」

口を開いたのは金髪の少年だった。
―――彼の名前は【紅修羅】
そんな修羅が発した言葉を聞くと悠里は其方の方へ視線を変えつつも何も答ない。
そして窓の方へと視線を変える。
悠里が視線を変えた時に、琉兎が変わりにとでも言うように修羅の方へ視線を向け

「でしょー? さって…皆!そろそろ行こうっかvそろそろみたいだからv」

―――そろそろみたいだから。
この言葉の意味は今の悠里にはわかってはいない。
琉兎は言い終わってから悠里の目の前にヒョコッと顔を出し

「悠里くんっ」

目の前に顔を出されつつもあまり驚いた表情を見せない悠里。
彼はボーッとしつつ琉兎へと視線を変える。
琉兎はそんな相手を見ながらニコッと笑顔を向け

「君の知りたい事教えるよーvさっ、行こv」

琉兎は笑顔を向けたまま悠里の腕を引っ張る。
悠里は少し琉兎から視線をずらし思い切り腕を振り解き、また琉兎へと視線を戻し不機嫌な顔をしている。
そんな悠里を見ながらも琉兎は笑顔を向けて

「次の場所でちゃんと教えるから…ね」

そう言いながらも最後は少し悲しそうな表情をしている琉兎。
悠里はその表情に気づきつつも何も言わなかった。
そして皆立ち上がり喫茶店の出口の方へと足を進めて

―――カランコロン

喫茶店のドアを開けて、4人は出てある場所へと向かって行く。
―――このドアを開き、ある場所へと向かった悠里はこれを境に変わる。

―――ガチャッ

ドアが閉まった音…。
もう引き戻す事は出来ない―――。


From the painful