―第4話―


―――ザッ
砂やじゃりの音…。
そう、此処は普通の公園。
先ほど出てきた喫茶店から、2,3分程の時間をかけてこの公園へとついた。
そして、4人は公園へ入る。
悠里はとりあえずついて行くだけだった。
そんな時、琉兎が悠里の方に視線を向け

「さてっ…此処で説明するよv えっと、修羅君はどうする?先行く?」

そう琉兎が口にすると、修羅は頷いた。

―――先に行く。

この言葉がひっかかる悠里だが、その言葉を口には出さない。
そんな中、金髪の少年修羅は公園のだいたい真中の所に足を進め、そして立ち止まった。
修羅はその場で下に顔を俯き小さな声で呟いている。
悠里の耳に聞こえてきた言葉は

―――選ばれ…修…きたい…。

途切れ途切れに聞こえた言葉。
その言葉と共に修羅の周り明るい光に照し始める…。
その明りはとても綺麗で、そして暖かそうな光。
光が修羅をしっかりと包み込み終わると、一瞬目を開けていられない程の眩しい強い光が周りを照らす。
その瞬間、修羅以外の3人は皆眩しそうにして目を閉じた。
次、3人が目を開けた時には修羅の姿は無かった。
そんな光景を目の当たりにした悠里が唖然とした表情をしていると、琉兎は唖然としている彼を見て

「さてと…僕達も行こうかv」

そんな風に琉兎が言葉を発すると思わず悠里は琉兎と魅玲を見ながら

「さっきから行くって何処にだよ…。 つか、あの金髪の奴は何処行ったんだ…?」

そう悠里が不思議そうに口にすると、琉兎と魅玲は視線を揃える。
2人が軽く視線を合わせた所で軽く頷く魅玲。
魅玲はそのまま悠里へと視線を変え、ベンチの方へと歩いていき手招きをしている。
琉兎にも―――。
その手招きを見て魅玲のいるベンチの方へと足を進める悠里と琉兎。
そのままベンチへと腰をかける3人。
ベンチに腰をかけた途端に魅玲は口を開く。

「では、そろそろ君の質問に答えていきたいと思います。 何でも聞いて下さい。」

今まで質問しても答えを出さなかった魅玲がそう口にした。
琉兎もそれに同感の様子で頷いて見せる。
そんな2人を見て少し戸惑いが隠せない悠里。
だが、そんな戸惑いもすぐに表情から消し魅玲の言葉に対して

「まず俺が聞きたいのは、何で琉兎とかいうそこの女が俺を此処へ連れ出し、俺にあんな言葉を言ったかだ…。」

そう、悠里は完全に琉兎を女だと思っていた。
その言葉に対し、軽く魅玲と琉兎は目線を合わせるがその部分には何も対処はせずに…そしてあんな言葉という所も無視し琉兎が答えを出す。

「それは僕が答えた方が良いかな? えっとね、君に来てもらった理由は…君が選ばれた人間だからだよ」

琉兎がこう口にする…。
だが、その言葉を全く理解出来ずにいる悠里。

―――選ばれた人間。

これがどういう意味を指すのかがわからない。
その解読できない様子のまま

「選ばれた人間…? …はっ…。どっかの漫画みたいな事言いやがるな」

馬鹿にするように鼻笑いをしながら言い放つ悠里だが、琉兎はその言葉を聞きながらも真剣な表情の琉兎。
そんな真剣な表情の相手を見てから、その表情に圧倒され魅玲の方へと視線を移す。
視線を移してきた相手に対し魅玲は静かに微笑みを見せ、琉兎の方へと視線を変える。
琉兎は視線を前に移し、公園の全体を見て

「僕も初めはそう思ったよ…。 だから君の考えている事はわかる。 現に君の心は僕に聞こえてるしね…」

そう、琉兎には相手の心を読む透視能力が有る。
悠里はその言葉を聞いて少しイラッとするような表情を見せる。
彼は遠まわしと言うのがお好みでは無い様子で。
悠里はそんな少し不機嫌なまま琉兎と同じように公園を見回しながら

「じゃあさ、俺の聞きたい事とかわかんだろ。 それをお前は答えりゃ良いじゃん。 何でわざわざ聞くわけ?」

悠里は機嫌悪そうにしながらもそう言う。
そんな悠里を見る琉兎と魅玲。
その時にまたあの耳鳴りのような音が聞こえる。

―――キーーーーーン

その音と共にこの間より更に強い頭痛が悠里を襲う。
その瞬間に琉兎はパッとベンチから立ち上がる。
同じように魅玲もその場を立ち上がる。
それを頭痛に耐えながらも見上げる悠里。
琉兎と魅玲は視線を合わせて琉兎が口を開く。

「今日のは大変そうだよ…。 僕達も早く行こう」

その言葉に対し魅玲は頷く。
頷いたのを見た琉兎は悠里の方へと視線を変える。
それに対し軽く眉間に皺を寄せつつ唖然とした態度の悠里。
琉兎は少し焦った様子で

「悠里君、本当はゆっくり口で説明しようと思ったけど、無理みたい…。 こっちに来て!」

その言葉が合図の様に魅玲と琉兎は、先ほど修羅が姿を消した場所当たりへと駆け出した。
2人が駆けるのを見て追いかける悠里。
3人が公園の中心に当たりにつくと、琉兎はその場で俯きこう呟き始めた。

「我は選ばれし者、琉兎。 そして選ばれし者達…悠里と魅玲。彼らも一緒に其方へ行きたい。 …どうか僕等を運んで!」

先ほど修羅から聞こえた言葉がかすかに入っている事に気づく。
そしてその言葉と共に周りが綺麗な光に包まれる。
先ほど修羅が姿を消す前の時と同じ光。
その光を見て、落ち着きを隠せず、挙動不審になる悠里。
だが、そのまま光はパッと目がくらむ程の強い光へと変わり、皆が目を閉じた。

そして、その瞬間に公園から3人の姿は消えた…。

―――この瞬間からが本当の始まり。
もう駆け出してしまった。


From the painful